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東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)80号 判決

事実及び理由

審決を取り消すべき事由の存否について判断する。

1  原告は、審決には引用例の記載内容を誤認したうえ、本件考案と対比した違法がある旨主張するので、まず、この点を検討する。

成立に争いのない甲第二号証の七(昭和五三年一〇月三〇日付手続補正書)及び甲第二号証の九(昭和五三年一二月六日付手続補正書)によれば、本件考案は、直列形多気筒デイーゼル機関をコンパクトにした構成に関するものであり、その特徴とするところは、「吸排気カム軸と燃料カム軸とを夫々独立させ、これらカム軸をクランク軸の上方で相互に平行となるように左右に振分けて配置し、クランク軸長手方向一端側でクランクケースに、横方向に突出するポンプケーシングと一体形成すると共に、このポンプケーシングの外側にポンプ取付部を形成し、燃料カム軸を該ポンプケーシングに回転自在に挿支し、この燃料カム軸によつて駆動されるフランジ型燃料噴射ポンプを外方からポンプケーシング内に挿入し、そのフランジをポンプ取付部に外側から取付けた点にある」(甲第二号証の九第二頁七行ないし一九行目参照)ことが認められる。

一方、成立に争いのない甲第二号証の五(引用例)及び乙第二号証(引用例の図七・一八Fowler-Sanders“B”型機関横断面の拡大説明図)によれば、引用例には、吸排気カム軸と燃料カム軸とをそれぞれ独立させ、これらカム軸をクランク軸の上方で相互に平行となるように左右に振分けて配置し、クランクケースにポンプケーシングを一体形成(引用例にあつても、やはり「一体形成」とみられることは、のちに検討する。)し、燃料カム軸を挿支個所は明らかではないが、回転自在に挿支し、この燃料カム軸によつて駆動される燃料噴射ポンプを外方からポンプケーシング内に挿入した単気筒デイーゼル機関の構成が認められる。

そこで、本件考案と引用例の機関の構成を対比してみると、本件考案にあつては、<1>ポンプケーシングがクランク軸長手方向一端側でクランクケースの横方向に突出するものである点、<2>燃料噴射ポンプに形成されたフランジを取り付けるためにポンプケーシングの外側にポンプ取付部を形成した点、<3>デイーゼル機関が直列形多気筒である点、及び<4>燃料カム軸の挿支個所がポンプケーシングと明示されている点において、引用例の機関と相違するが、その他の点においては一致しているものと認められる。

なお、前記相違点<4>として指摘した燃料カム軸の挿支個所について、審決が引用例のものにあつても「燃料カム軸を該ポンプケーシングに回転自在に挿支し」(審決二丁表二行ないし三行目)たものと認定した点は、のちに述べる如く誤りといえるが、この点の誤りは審決の結論に影響を及ぼすべきものとは認められない。(後述2(一)(2))参照)

2  次に、原告は、本件考案の特徴点及びその作用効果の格別性を主張するので、前記認定の一致点及び相違点を勘案しながら、逐次検討する。

(一)  原告主張の本件考案の特徴点(1)について

右特徴点(Ⅰ)が、「ポンプケーシング(23)が、クランク軸(2)長手方向一端側でクランクケース(1)に横方向に突出するものとして一体形成され、該ケーシング(23)の外側にポンプ取付部(23a)を形成し、該ケーシング(23)に燃料カム軸(4)を回転自在に挿支した点」であることは、前示のとおりであるところ、

(1)  クランクケースにポンプケーシングを一体形成した点について、

原告は、引用例においては、クランクケースにポンプケーシングの一部のみを一体に凹入形成し、その側面開口をカバーにより施蓋したものであり、本件考案のポンプケーシングをクランクケースに一体形成した構成とは趣を異にする旨主張する。

たしかに、引用例のポンプケーシングをみると凹入壁とこれと別体とみられるカバーとでポンプケーシングが形成されていて、カバーがポンプケーシングの相当な部分を占めていることが認められるが、しかし本件考案の「実用新案登録請求の範囲」には、ポンプケーシングの具体的構造としてカバーの有無及びその大小などについて何らこれを限定する記載がないことに徴すると、引用例のポンプケーシングにおいて、前叙の如く別体のカバーで施蓋されているとしても、ポンプケーシングを形成する凹入壁がクランクケースと一体に形成されていることが明らかであるから、審決が引用例の機関も「クランクケースにポンプケーシングを一体形成し」たものと認定したのは正当であるというべきである。

なお、ポンプケーシングをクランクケースと一体に形成する構成が、ポンプケーシングをクランクケースの「横方向に突出させる構成」とは、相互に不可分の関係にあるとは考えられないので、この点はポンプケーシングとクランクケースとの配置位置の問題としてのちに別に検討することとする。

(2)  燃料カム軸をポンプケーシングに回転自在に挿支した点について

引用例の図七・一八は、単気筒デイーゼル機関の横断面を図示したものであるので、これに徴すると、引用例においては、燃料カム軸がどこに回転自在に挿支されているかは明示されてはいないから、審決が、燃料カム軸がポンプケーシングに挿支されていると認定したことは前叙のとおり誤りといえるが、一般に燃料カム軸をポンプケーシングに回転自在に挿支することは、きわめて普通のことであるから、本件考案において、燃料カム軸をポンプケーシングに挿支した構成が本件考案の構成上の特徴とみることはできないし、また、これに基づいて格別の作用効果を奏するものとも認められない。

したがつて、審決におけるこの点の認定の誤りは、審決の結論に影響を及ぼすべきものとは考えられない。

(3)  ポンプケーシングがクランク軸長手方向一端側でクランクケースの横方向に突出するものである点について

審決は、この点に関して「ポンプケーシングをクランク軸長手方向一端側でクランクケースの横方向に突出させた点に格別の効果が有るものとは認められないので、この点は当業者がきわめて容易になし得る設計事項にすぎないものと認められ」(審決二丁表下から二行ないし同丁裏三行目)ると認定しているところ、原告が主張する作用効果のうち、ポンプケーシングをクランク軸長手方向一端側でクランクケースの横方向に突出させる構成に基づく効果といえるのは原告主張の(イ)(ロ)(ハ)(ホ)であると認められるので、これらの事項について検討する。

成立に争いのない乙第六号証の二ないし四(大井上博「高速ヂーゼル機関」昭和一六年六月一五日四版発行山海堂出版部)によれば、同刊行物第一一四頁図六・一五、第一一六頁図六・一七及び第二六八頁図一二・三五などにみられる如く、一般に多気筒型デイーゼル機関において、クランクケースとは別体のポンプケーシングをクランクケースの側面に配設し、これに燃料噴射ポンプを取付ける構造は、すでに本件出願前に当業者に普通に知られていたことが認められ、これを覆えすに足る証拠はないから、右周知技術に基づいて原告が主張する作用効果を検討すると、(イ)多気筒化を図る際の設計が非常に容易であり、自由度も大である(原告主張の効果(イ))、(ロ)加工が容易であつて大量生産に適している(原告主張の効果(ロ)ただし、燃料噴射ポンプの取付部に関しての原告の主張はのちに検討する。)、及び(ハ)放熱効果に優れている(原告主張の効果(ハ))などの作用効果は、すべてポンプケーシングを別体にしてクランクケースの側面に配置した従来の多気筒型デイーゼル機関が有している効果と格別の差異がなく、またポンプケーシングをクランクケースの横方向に突出させる構成とした点をクランクケースと一体形成する構成と関連させて判断しても、原告主張の効果(イ)(ロ)(ハ)のいずれについても本件考案が格別の効果を奏するものとは認められない。

なお、原告は、本件考案においては、補器の取付けに便利である(原告主張の効果(ホ))旨を主張するが、本件考案は、その実用新案登録請求の範囲の記載に照らしてみても、補器を取付けることを必須の構成要件とするものでないことは明らかであり、また必ずしも補器を取付ける必要もないのであるから、この点は本件考案のもつ特有な効果ということはできない。

そうすると、本件考案がポンプケーシングの配置につきクランクケースの横方向に突出する構成を採択したことにより格別の作用効果を奏するとはいえないので、ポンプケーシングをクランク軸長手方向一端側で(直列形多気筒デイーゼル機関のコンパクト化のためにこの位置にポンプケーシングを配置することはきわめて容易であることは、のちに詳述する。)クランクケースの横方向に突出させることは、直列形多気筒デイーゼル機関を設計するにあたり当業者が必要に応じてきわめて容易になしうる設計事項というべきである。したがつて、この点の審決の判断には誤りはない。

(4)  ポンプケーシングの外側に燃料噴射ポンプの取付部を形成した点について

この点は、原告主張の特徴点(Ⅱ)と関連するのでそこで詳細に検討するとおり、ポンプケーシングの外側に燃料噴射ポンプの取付部を設けることは当業者間の周知の技術に属することであるから本件考案が特に有する技術ではない。

以上の検討から明らかなとおり原告が本件考案の特徴点(Ⅰ)として主張するところは、引用例及び本件出願前の周知の技術に照らして格別のものとは認められない。

(二)  原告主張の特徴点(Ⅱ)について

原告が、本件考案の特徴点(Ⅱ)として主張する、「燃料カム軸(4)によつて駆動されるフランジ型燃料噴射ポンプ(22)が外方からポンプケーシング(23)内に挿入され、そのフランジ(24)をポンプ取付部(23a)に外側から取付けた点」は、審決が相違点<2>として指摘した点に該当するところ、審決はこの点について「燃料噴射ポンプにフランジを形成し、このフランジをケーシングの外側のポンプ取付部に外側から取付けることは、当業者間において周知の技術である(必要ならば、著者代表磯貝誠「熱機関体系〔第七巻〕デイーゼル機関〔Ⅱ〕」四版山海堂〔昭三五―七―三一〕第四三頁ないし第四五頁、〔特に図一・五〇及びその説明〕を参照されたい)ので、この点に考案を認めることができ」ない(審決二丁裏四行ないし一一行目)と判断した原告は、審決が周知例として指摘した前記刊行物には、単なるフランジ型燃料噴射ポンプが示され、フランジより下位の部分が機関内に収められると記載されているのみであり、ポンプ取付部がポンプケーシングの外側にあることは開示されていない旨主張する。

成立に争いのない甲第一号証の二によれば、審決が周知の技術として例示した前記刊行物の第四四頁には、「最近のように機関の完全密閉型が要求される場合には、燃料吸入部と吐出部以外はすべて機関の内部に収める必要が生じてくる。この目的のために使用されるのが図一・五〇に示すボツシユPFR型燃料噴射ポンプであつて、図に示すようにフランジがポンプ本体の上側に設けられ、燃料加減棒はフランジの下部にある」(三行ないし八行目)と記載されており、図一・五〇には、ポンプの上側には締付用ボルト穴のあるフランジが設けられているボツシユ型燃料噴射ポンプが図示されている(以下、「周知例」という)。このことからすると、その燃料噴射ポンプは、ポンプケーシングの外側から挿入され、ポンプ本体の上半部が外部に露出するようにフランジによつてポンプケーシングの外側に取付けられるものであることは当業者において容易に理解できるところであり、該ポンプの取付けにあたつてはポンプケーシングの外側に燃料噴射ポンプのフランジ部分を取り付けるための取付部を要することは設計上当然のことと理解される。したがつて、周知例として例示された右刊行物に関する原告の前記主張は肯認できない。

原告は、また、本件考案の特徴点(Ⅱ)の構成に基づく効果として燃料噴射ポンプ(22)の取付けが容易、かつ、安定することを主張するが、その具体的説明の第一の作用効果として挙げるところは、前記周知例として示されたボツシユ型燃料ポンプ(PFR型)そのものが有する事柄であつて、本件考案に特有なものではなく、また、ポンプケーシングをクランクケースの横方向に突出させる構成は、すでに特徴点(Ⅰ)について検討した如く、当業者がきわめて容易になしうる設計事項とみられ、この横方向に突出させた構造のポンプケーシングに周知例にみられる如きフランジを形成した燃料噴射ポンプを取り付けることには特に困難性があるとは認められないし、またそれによる作用効果も当然予測される範囲のものである。また、具体的説明の第二の作用効果として挙げている、ポンプケーシングの剛性が高く、強度が大であるから燃料噴射ポンプをポンプケーシングに安定強固に取り付けられるとする点は、ポンプケーシングがクランクケースに一体に形成されていることに基づく効果とみるべきであり、ポンプケーシングをクランクケースと一体に形成した機関の構造は前叙のとおり引用例に開示されているから、この点を本件考案の格別の効果と認めることはできない。

原告は、さらに、本件考案について、「ポンプケーシング(23)はポンプ(22)の本体のみを収納するコンパクトなものである。」と主張するが、前記周知例における燃料噴射ポンプも、前記認定のとおり、そのポンプ本体のみがポンプケーシング内に収納されるものと理解されるので、この点で両者には差異がない。

したがつて、原告が本件考案の特徴点(Ⅱ)として主張するところのものは格別のものとは認められず、審決の相違点<2>に関する判断は正当である。

(三)  原告主張の特徴点(Ⅲ)について

本件考案は、直列形多気筒デイーゼル機関である点(原告主張の特徴点(Ⅲ))で、単気筒デイーゼル機関である引用例のものと相違することは、審決が相違点<3>として認定したとおりである(当事者間に争いがない)。しかるところ、審決が右相違点<3>に関して「直列形多気筒デイーゼル機関は従来周知のものであるので、この点にも考案を認めることができない。」(審決二丁裏一二行ないし一四行目)と判断したのに対し、原告は、審決には本件考案の特徴点(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)を総合的に関連付けることなく、分断して単独に判断した誤りがあり、本件考案が直列形多気筒デイーゼル機関に関する考案であることは、考案の目的と直接関連し本件考案の作用効果を判断するうえにも重要であることを主張する。

本件考案は、前記認定のとおり直列形多気筒デイーゼル機関をコンパクトにした構成にするものであり、右の目的に関して本件考案の訂正明細書(前掲甲第二号証の七―手続補正書)には、「従来この種噴射ポンプの駆動は動弁系のカム軸に併設された燃料噴射ポンプ用カムにて行なわれていたので動弁系のカム軸が長大なものとなつて、これが直接クランクケースを大きくし、機関のコンパクト化を阻害する一因となつていた。本件考案は、このような状況に鑑みて提案されたもので」ある(第三頁二行ないし八行目)と明記され、その目的のため、「吸排気カム軸(3)と燃料カム軸(4)とを夫々独立させ、これらカム軸(3)(4)をクランク軸(2)の上方で平行となるように左右に振分けて配置」(実用新案登録請求の範囲参照)する構成を採択したものであるといえる。

しかしながら、引用例記載の機関をみると、本件考案がコンパクト化を阻害する一因をなすとした燃料カムの取付に関して、前記認定の如く、デイーゼル機関において、吸排気カム軸と燃料カム軸とをそれぞれ独立させ、これらカム軸をクランク軸の上方で平行となるように左右に振分けて配置したものが開示されているから、このような構成を直列形多気筒デイーゼル機関に適用することはきわめて容易になしうるというべく、また、デイーゼル機関をコンパクト化するにあたつて、燃料噴射ポンプを収納するためのポンプケーシングをクランク軸の長手方向一端側に配置することは当業者においてきわめて容易に考えられる。

したがつて、本件考案の特徴点(Ⅲ)に関して、審決が、直列形多気筒デイーゼル機関は従来周知のものであるからこの点には考案を認めることができないとした相違点<3>についての判断は正当であり、原告の主張は理由がない。

(四)  以上のとおり原告が本件考案の特徴点として主張する構成及びそれに基づく効果は格別のものとは認められないから、審決が本件考案をもつて引用例に記載されたものに基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものとした判断は、引用例についての認定に一部誤りがあるとしても、その結論においてなお正当たるを失わないものであるから、審決を取り消すべき違法があるものとはいえない。

よつて、審決の取消しを求める原告の本訴請求を失当として棄却する。

〔編註その一〕本件における考案の要旨および審決理由の要旨は左のとおりである。

本件考案の要旨

吸排気カム軸(3)と燃料カム軸(4)とを夫々独立させ、これらカム軸(3)(4)をクランク軸(2)の上方で相互に平行となるように左右に振分けて配置し、クランク軸(2)長手方向一端側でクランクケース(1)に、横方向に突出するポンプ ケーシング(23)を一体形成すると共に、このポンプケーシング(23)の外側にポンプ取付部(23a)を形成し、燃料カム軸(4)を該ポンプケーシング(23)に回転自在に挿支し、この燃料カム軸(4)によつて駆動されるフランジ型燃料噴射ポンプ(22)を外方からポンプケーシング(23)内に挿入し、そのフランジ(24)をポンプ取付部(23a)に外側から取付けたことを特徴とする直列形多気筒デイーゼル機関(別紙図面(一)参照。)。

審決の理由の要旨

(一)  本件考案の要旨は、前項のとおりと認める。

(二)  これに対して、当審で通知した拒絶理由に引用した刊行物・大井上博「高速ヂーゼル機関」四版、山海堂(昭一六・六・一五)第一三四頁ないし第一三五頁(本件甲第二号証の五)(以下、「引用例」という。)には、特に引用例第一三四頁図七・一八及びその説明からみて、吸排気カム軸と燃料カム軸とを夫々独立させ、これらカム軸をクランク軸の上方で相互に平行となるように左右に振分けて配置し、クランクケースにポンプケーシングを一体形成し、燃料カム軸を該ポンプケーシングに回転自在に挿支し、この燃料カム軸によつて駆動される燃料噴射ポンプを外方からポンプケーシング内に挿入したデイーゼル機関について記載されているものと認める(別紙図面(二)参照)。

そこで、本件考案と引用例に記載されたものとを比較すると、本件考案は、<1>ポンプケーシングがクランク軸長手方向一端側でクランクケースの横方向に突出するものである点、<2>ケーシングの外側に燃料噴射ポンプ取付部が形成され、かつ、燃料噴射ポンプにフランジが形成され、このフランジをポンプ取付部に外側から取付けた点、及び<3>デイーゼル機関が直列形多気筒である点の三点において、引用例に記載されたものと相違するが、その他の点においては、引用例に記載されたものと一致しているものと認められる。

しかしながら、相違点<1>について検討すると、ポンプケーシングをクランク軸長手方向一端側でクランクケースの横方向に突出させた点に格別の効果が有るものとは認められないので、この点は当業者がきわめて容易になし得る設計事項にすぎないものと認められ、相違点<2>について検討すると、燃料噴射ポンプにフランジを形成し、このフランジをケーシングの外側のポンプ取付部に外側から取付けることは、当業者において周知の技術である(必要ならば、著者代表磯貝誠「熱機関体系(第七巻)デイーゼル機関〔Ⅱ〕」四版、山海堂(昭三五・七・三一)第四三頁ないし第四五頁(本件甲第一号証の二―特に図一・五〇及びその説明)を参照されたい。)ので、この点に考案を認めることができず、相違点<3>について検討すると、直列形多気筒デイーゼル機関は従来周知のものであるので、この点にも考案を認めることができない。

したがつて、本件考案は、前記引用例に記載されたものに基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第三条第二項の規定により実用新案登録を受けることができない。

〔編註その二〕本件に関する図面は左のとおりである。

別紙図面(一)

第1図

第2図

第3図

別紙図面(二)

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